相続税と聞くと「沢山の税金を取られるイメージ」がありますが、実際はそんなことありません。
かなりの財産があれば話は別ですが、ほとんどの場合、相続税がかかる事はないです。
実際に相続税がかかっているのは4%と言われていますから、お金持ちでもない限り心配ありません。
そうは言っても「実際に相続税がかかるのかを知りたい」と言う方のために、今回は分かりやすくお話いたします。
目次
相続税がかからない金額はいくら?
故人に財産があっても一定の金額まで相続税はかかりません。
まずは、その一定金額の出し方について見ていきましょう。
相続税のかからない範囲を基礎控除額と言います。
基礎控除額の出し方は
3,000万円+600万円×法定相続人の数
です。
法定相続人の数と言うのは、例えば残された奥さんと子供が2人いる場合、法定相続人の数は3人になります。
ですので「3,000万円+600万円×3人」=4,800万円までは相続税が0円です。
仮に子供がいなく奥さんだけの場合(故人の家族もいないのが条件)、相続税は3,600万円まで0円です。
ただし、配偶者(奥さん、または旦那さん)の場合は、配偶者控除があるので1億6,000万円までは相続税がかかりません。
また、1億6,000万円を超えても、配偶者の法定相続分までであれば相続税が課税されません。
※配偶者ではない子供、故人の父母、故人の兄弟などが財産を貰う場合に相続税がかかります。
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故人の財産が1億4000万円あった場合の相続税は?
故人の財産が1億4000万円、そして残された遺族が先ほどの「奥さんと子供2人」の場合で計算してみます。
例えば故人の財産がこのように残っていたとします↓
- 貯金/現金:6000万
- 株券:1400万
- 土地の価格:1,600万
- 建物の価格:1,000万
- 生命保険:2,000万
- 死亡退職金:2,000万
これを合計すると1億4,000万円です。
ここから、故人の借金・生命保険と死亡退職金の控除・葬儀費用などを差し引くことができます。
- 故人の借金:-700万
- 葬儀費用:-300万
- 生命保険の控除:法定相続人(3人)×500万:-1500万
- 死亡退職金の控除:法定相続人(3人)×500万:-1500万
控除額の合計は4,000万です。
財産が1億4,000万円-控除額4,000万円=1億円。
この1億円から文頭で説明した基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人)を差し引きます。
基礎控除額は3000万円+600万円×法定相続人(3人)なので、合計4800万円。
1億円-4800万円=5200万円に対して相続税がかかります。
相続税のシュミレーション
では、5200万円に対しての相続税がどれくらいかかるのかについてシュミレーションをしたいと思います。
財産の分配は奥さんが1/2、子供(2人)がそれぞれ1/4で計算します。
相続税がかかる5200万円をそれぞれ分けると↓
- 奥さんが1/2:2,600万円
- 子供Aが1/4:1,300万円
- 子供Bが1/4:1,300万円
▼相続税の税率表
- 奥さん:2,600万×15%-50万=340万
- 子供A:1,300万×15%-50万=145万
- 子供B:1,300万×15%-50万=145万
奥さんは340万円、2人の子供はそれぞれ145万円の相続税を支払います。
しかし、先ほど話した配偶者控除(1億6,000万円まで無税)があるので、奥さん(配偶者)の相続税は0円です。
今回のケースだと、子供2人がそれぞれ145万円の相続税を払うことになります。
ここまでをまとめると
故人の財産は1億4,000万円ありましたが、借金(-700万)と葬儀費用(-300万)があったので、実際の財産は1億3,000万円になります。
分配金額は奥さんが1/2(6,500万)、子供がそれぞれ1/4(3,250万円づつ)です。
- 奥さん:6,500万円の相続で相続税が0円
- 子供A:3,250万円の相続で相続税が145万円
- 子供B:3,250万円の相続で相続税が145万円
受け取れる財産と支払う相続税については、上記のようになりました。
子供が支払う相続税が145万円と高額に感じますが、3,250万円の約5%くらいなので、率にすると少額ですね。
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土地の相続には控除が適用される
土地を相続した場合「小規模宅地等の特例」と言うものがあります。
故人と一緒に住んでいた土地を相続した場合、330㎡(100坪)までは80%減額してもらえます。
例えば、土地の価格が1億円、それを80%減額すると2000万円が相続税としてかかる範囲です。
この「小規模宅地等の特例」は少し複雑なので、気になる方は税理士さんに相談してください。
※故人と一緒に住んでいなかった場合、借地だった場合など、ケースによって控除額が異なります
※「小規模宅地等の特例」には申請が必要です。
法定相続人と分配の仕組み
法定相続人とは、民法で決められた「相続ができる人」です。
その「相続ができる人」と言うのが、
- 配偶者(旦那さんか奥さん)
- 子供
- 故人の父母
- 故人の兄弟
になります。
法定相続人が故人の財産をもらえる順番もありますので、下記図をご覧ください。
「配偶者」から始まり「子供」>「故人の父母」>「故人の兄弟」という順番になっています。
配偶者か子供がいた場合は、「故人の父母」と「故人の兄弟」は相続権がありません。
配偶者だけ血のつながりがなくても法定相続人となりますが、婚姻関係は必要となります。
また、愛人の間にできた子供は、血がつながっていても認知されていなければ法定相続人にはなれません。
法定相続人の取り分は?
次に法定相続人の取り分についてご説明します。
法定相続人の取り分を「法定相続分」と言い、民法でこのように分けた方が良いとされる取り分です。
では法定相続分がどのようになっているのかをご覧ください。
- 配偶者しかいない:配偶者が100%
- 配偶者と子供:配偶者が1/2、子供達で1/2を分配
- 配偶者と故人の父母:配偶者が2/3、故人の父母が1/3
- 配偶者と故人の兄弟:配偶者3/4、故人の兄弟1/4
- 配偶者がいなく子供だけ:子供達で分配
- 配偶者と子供がいない:故人の父母が100%
- 配偶者・子供・故人の父母がいない:故人の兄弟が100%
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さらに相続税を詳しく知りたいなら
相続税をさらに詳しく勉強したいなら、専門の本が発売されているので調べてみてください↓
まとめ:相続で困ったら税理士さんに相談を
簡単ではありますが、相続税についてお話しました。
現金だけの財産なら簡単ですが、土地などが絡んでくると少し面倒ではあります。
税理士さんに頼むと費用がかかりますが、相続する財産が多い場合はお任せした方が良いでしょう。
また、税理士さんにお願いする場合は詳しい方を探してください。
私の場合、土地の相続があり、仕事でお付き合いしている税理士さんに相談したのですがあまり詳しくありませんでした。※税理士さんによっても専門があるようです。
税理士さんにお願いする場合、財産の0.5%から1%くらいが費用の目安となります。
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